政府は、新型コロナウイルスの感染者との接触を通知するスマートフォンのアプリについて、週内にも提供を始める。感染した可能性を利用者に素早く伝え、対策をとってもらうことで感染拡大を防ぐ狙いだ。ダウンロードは任意で、政府は効果が十分に出るとされる国民の6割以上の普及をめざすが、ハードルは高そうだ。
このアプリは、スマホの近距離無線通信「ブルートゥース」を使い、半径1メートル以内に15分以上あったスマホ端末を匿名のIDを交換する形で記録していく。感染が判明した利用者は、保健所から発行された番号をアプリに入力して「陽性」だと登録する。すると、2週間以内に接触があったと記録されていた端末すべてに「陽性者との接触が確認された」との通知が届く。
プライバシーに配慮し、名前や電話番号などの個人情報や、GPSなどの位置情報は使わない。このため政府だけでなく利用者からも、接触相手や場所の特定や、どの店舗でクラスター(感染者集団)が発生したかなどの分析はできないという。
接触から2週間以上たった情報は消去され、アプリごと削除もできる。内閣府の担当者は「国民が『気持ち悪い』と感じてアプリが普及しない事態を避けるため、プライバシーに最大限配慮した」と話す。
政府は、導入すれば感染の可能性が早くわかり、速やかに受診できると強調する。ただ、PCR検査が優先的に受けられるなどのメリットはない。スマホの普及率は7割弱で、「6割達成」は簡単ではない。
政府はアプリの提供開始を当初、5月上旬と想定。もともとは民間主導で複数のアプリがあっていいとの考えで、一般社団法人「コード・フォー・ジャパン」などが開発していた。だが、接触通知アプリ専用の技術を共同開発していた米グーグルとアップルが5月初旬、「技術の利用は1国1アプリのみで、公衆衛生当局が作製または利用するものに限る」との方針を発表。スマホのOS(基本ソフト)はこの2社がほぼ独占しているため日本も従わざるを得ず、開発主体を厚生労働省に切り替えるなどしたためスタートが大幅にずれ込んだ。(栗林史子)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル